AEDは、自動体外式除細動器の略です。これは心臓発作や突然死のような緊急事態に対応するための装置です。心室細動や心室頻拍といった心臓の異常なリズムを、電気ショックを与えることで正常なリズムに戻すことができます。AEDを早急に使用することで、生存率の上昇が期待できます。
AEDの配置場所
AED(自動体外式除細動器)は、公共の場所や施設、企業などさまざまな場所に配置されています。例えば、病院や診療所、学校や市役所、スポーツセンター、公民館、ターミナル駅など、多くの人が利用する場所に設置されています。また、最近ではデパートや大型商業施設、コンビニエンスストア、ドラッグストアなどにも増えてきています。自宅や勤務先の近くでAEDの場所を事前に把握し、緊急時に備えておくことが重要です。
AEDが設置されている場所には、目立つ場所に「AEDの設置ステッカー」が貼られています。このステッカーには通常、「AED」・「AED設置施設」という文言が記載されています。この表示があれば、その施設内のどこかにAEDが備え付けられているので、施設の管理者や従業員に問い合わせてみてください。
AED設置場所を公開している自治体があるので、お住いの地域のホームページを確認してみるとよいでしょう。
AEDの正しい使用タイミングを6つのステップで確認
- まずは周囲の安全を確認してください
自分や負傷者が危険な場所にいないか、車が近くにいないかなど、周囲を注意深く確認してください。安全確認を怠ると、負傷者だけでなく、自分も二次的な被害に巻き込まれる可能性があります。 - 肩を軽くたたいて耳元で意識の有無を確認する
周囲の安全が確認できたら、傷病者の肩を軽くたたきながら、耳元で「大丈夫ですか」等で声をかけて意識の有無を確認しましょう。傷病者が反応しない場合は、再度声を大きくして確認します。ただし、急に肩を強くたたいたり、体を揺さぶったりするのは避けてください。 - 助け・応援を呼ぶ
傷病者が意識を失っている場合、すぐに大声で助けや応援を呼びます。心肺蘇生には周囲の協力が必要です。自分で心肺蘇生を行う場合は、119番への通報とAEDの搬送を別の人にお願いします。ただし、「誰かお願いします」という曖昧な依頼では行動が遅れる可能性があります。そのため、協力を求める際には、周囲にいる特定の人を指し示して「あなたは119番に通報してください」と具体的に伝えることで、迅速な対応が期待できます。 - 呼吸があるかどうか確認する
次に、傷病者の胸や腹部の動きを目視でチェックし、通常通り呼吸しているかどうかを確認します。呼吸確認の目安は10秒以内です。傷病者が呼吸していない場合だけでなく、呼吸確認が難しい場合も、迅速に心停止と見なし、救命措置をとる必要があります。 - 胸骨圧迫と人工呼吸を実施する
傷病者の気道確保後、救急蘇生法を実施します。最初に胸骨圧迫を30回行い、次に人工呼吸を2回行います。AEDが到着するまでの間、胸骨圧迫と人工呼吸をセットで繰り返し行います。救急救命では、その場にいる人々(バイスタンダー)の協力が重要です。経験の有無にかかわらず、救急蘇生法を知っている人が率先して心肺蘇生を行うことが大切です。 - AEDによる電気除細動を行う
AEDの到着後、電源を入れ、音声ガイダンスに従い、操作します。電気ショックの指示があった場合は、周囲にいる人に離れるように指示した後、ショックボタンを押します。
AEDの使用方法
AEDを使用する手順は以下の通りです:
- AEDのふたを開け、電源ボタンを押します。
- 音声ガイダンスに従い、AEDのフタから四角い袋を取り出し、袋を破ってパッドを取り出します。2つの電極パッドをシートからはがし、装着部位(右胸と左脇腹)に貼り付けます。その後、体から離れます。AEDが心電図を調べ、電気ショックが必要かどうかを自動的に判断します。
- 電気ショックが必要と判断された場合は、周囲の人に離れるよう指示し、ショックボタンを押します。
AED使用時の注意事項
AEDは、自動的に電気ショックの必要性を診断し、必要がない場合は作動しません。したがって、電気ショックを与えて容態が悪化する心配はありません。また、AEDを使用しても助からなかった場合に法的責任を問われる可能性を恐れて、AEDを使用しないことがあります。しかし、法的責任については、心肺機能停止の傷病者の意識回復を目的としてAEDを使用した場合、刑法の「緊急避難(刑法第37条)」に該当し、民法の「緊急事務管理(民法第698条)」に該当します。したがって、重大な過失がなければ責任を負うことはありません。
AEDの定期的な点検と保守
AEDは定期的に点検され、必要に応じてバッテリーの交換や装置の保守が行われる必要があります。適切な点検と保守を行うことで、緊急時に正常に機能することが保証されます。